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2021年10月13日紙版発売
佐々木正悟 著
四六判/176ページ
定価1,628円(本体1,480円+税10%)
ISBN 978-4-297-12327-7
この本の概要
他人に気をつかいすぎて疲れる。
「人の目を気にしない」なんてムリだし,「心を強くする」なんてできない。
嫌な人とは距離を置こうとしてもうまくいかない――
「ライフハック」「仕事術」を駆使して怒られない方法を模索していきながらも問題が解決しなかった著者がたどりついた解決策とは?
人間関係で消耗しないための最終結論,教えます。
イラストは『さびしすぎてレズ風俗に行きましたレポ』をはじめとした著作で人気の永田カビ氏。
こんな方におすすめ
- 他人に怒られることに敏感な方
- 他人に気をつかいすぎて疲れる方
- 人間関係で消耗しやすい方
著者の一言
「休むのは,甘えです」
そんな厳しいことを言われてはたまったものではない,と多くの人は思うでしょう。
「休むのは甘えかもしれないが,人間は休まないわけにはいかない」
「休むのは甘えではない,権利だ!」
そんなふうに反発したい気持ちが起こったでしょうか?
もし,本書をひととおり読んでもらえたら,冒頭の文章から受ける印象は一変しているはずです。
本書は,最近よく耳にするようになったハイリー・センシティブ・パーソン(以下HSP)や,発達障害と呼ばれる方々など,
「つい人の顔色をうかがってしまう」
「怒られるの怖くて社会生活が難しい」
といった方を対象に書きました。
精神障害として見た場合,HSPと,たとえばADHDなどの発達障害は異なる症例です。けれども,両者には1つ,特徴的な共通点が見受けられます。それは「怒られる」ということを過剰に恐れている点です。「怒られるのが怖くて社会生活が営めない人」や「他人の顔色をうかがってしまう」人は,たとえHSPでも発達障害でもなくても,本書の読者対象です。
なぜ,怒られることをそこまで過剰に恐れなければならなくなっているのでしょうか? わたしは,その原因を
「甘え」を悪いことだとみなしているから
と考えます。甘えを悪いことだとみなしているから,甘えていると指摘されることが恐ろしいのです。甘えていると思うと,怒られているような気持ちになってしまうのです。
もちろん,甘えをどのくらい,またなぜ悪いこととみなしているかは,人によってちがいます。おもにHSPの人は,「自分が無能力だから甘えさせてほしいが,それは悪いことだ」と考えています。発達障害の人は,「そもそも人間は他人に甘えず,自立して生きていくべきだ」と過剰に考えすぎてしまって,他人とのコミュニケーションがうまくとれないようです。
しかし,どちらの場合にも「甘えている」と指摘されることは耐えがたいのです。
おまえは無能だから,他人に迷惑をかけて甘えているのだ!」と言われるのは,このうえなくつらいことです。
「おまえは人に甘えて油断しているから,つまらないミスばかりするのだ!」と笑われるのは,悔しいことです。
こうしたネガティブな思いをすることが増えてくると,HSPの人などは「わたしは人並みに働けないんだから,休日も出社するべきではないだろうか」などと考えて,気が休まりません。人に嘲笑されて腹立たしいことがあったりするADDの人などは,「リベンジするためにも,もっと能力を高めよう!」などと考えて,休日にもライフハックセミナーに通わなければなりません。だから疲れてしまうのです。
「甘えは悪いことだ」と考えている人にとって,「休むのは甘えです」という指摘は非常に厳しいものです。そういった人は,多くの場合,休日があっても長期休暇を取っても少しも気が休まりません。
本書の最終目的は,読者に「他人の顔色などうかがわなくても済むようになってもらう」ことです。そのためには,「甘えること=悪いこと」という等式を手放してもらう必要があります。甘えることが必ずしも悪いことでなくなれば,「休むことは甘えです」と指摘されたとしても,心にダメージを受けることはなくなるのです。そのころには,身心が必要としている真の休息を心ゆくまで堪能できるようになっています。長期休暇を取らなくても,いつまでも疲れを引きずるようなこともなくなっているでしょう。
「怒られるのが怖いから,どうしても他人の顔色をうかがわずにはいられない」
これを「自分のことだ」と思う人は,先を読んでみてください。心を鍛えたりスルー力を身につけるのとはまた違った処方を,徹底的に検討したのがこの本です。