ITエンジニアのやさしい法律Q&A 著作権・開発契約・労働関係・契約書で揉めないための勘どころ

ITエンジニアのやさしい法律Q&A 著作権・開発契約・労働関係・契約書で揉めないための勘どころ

2,508(税込)

数量

A5判/208ページ

販売価格2,508円(本体2,280円+税)

ISBN 978-4-297-11682-8

 

【この本の概要】

ソースコードの無断転載,協力してくれない発注者,偽装請負化したSES契約……。
「ITエンジニアに法律なんて関係ないよね?」と油断していると,思わぬ法的トラブルに巻き込まれてしまう恐れがあります。
とはいっても日々進化する技術についていくだけで大変,一から法律を学習する余裕なんてないというのも実情でしょう。
そこで本書では元ITエンジニアの弁護士がトピックを厳選し,Q&A形式で最低限押さえておくべきポイントを解説しました。
「著作権」「開発契約」「労働関係」そして「契約書のチェックポイント」,転ばぬ先の法律知識をコンパクトに一冊で知ることができます。

 

【こんな方におすすめ】

  • ITエンジニアになったばかりの方
  • 法律の落とし穴にハマることを予防したいITエンジニアの方

 

【著者の一言】

本書の執筆中,不利な条件での契約書にサインしてしまったために,システム開発の受託で貰えるはずだった数百万円の報酬の支払を受けられず,かえって数千万円の損害賠償請求を受けてしまった,という個人エンジニアからの相談を受けました。
エンジニアにとって法律は,なかなか「身近」に感じられるものではないかもしれません。しかし,会社に所属している場合でも,自分が関わるシステム開発は,契約や要件定義の段階から開発途中,納品や検収といったプロセスまでが「請負」「準委任」といった法律によって規律されているものですし,その中で登場するアルゴリズムやソースコード,ライブラリや画像素材などは,「著作権法」といった法律や「GPL」「クリエイティブ・コモンズ・ライセンス」といったライセンスシステムが深く関わる代物です。
また,従業員と会社の関係は,いわゆる労働法に規律されるものであり,特にITは,SESや副業,フリーランスなど,変則的な働き方が導入されやすい業界でもあります。エンジニアとして働いていく場合,とりわけ,いずれ上流工程にも関わりたいと思う場合や,フリーランスや副業などの形で個人としても働きたいと思う場合,法律に関する一定の知識は,自分の身を守るという意味でも必要不可欠となってくるのです。
このようなエンジニアと法律の関係について,私は次のようにも考えています。エンジニアは法律を理解するための素養を持っている方が実は多いのではないか,ということです。なぜならば,法律とは現実世界で発生する様々な事象について,「こうした場合はこのような効果が発生する」というようなアルゴリズムを規律するものであり,例えば契約書とは,自然言語で記載されたプログラムに他ならないからです。アルゴリズムを理解し,ソースコードを読み解き,想定外動作の発生し得る行を書き換える,という作業は,正にエンジニアが日々行っている業務であるはずです。法律も,一度基本的な考え方や言語仕様を理解すれば,例えば「この契約書のこの条項は非常に危ないかもしれない」といった勘所が分かるようになってくるはずです。
実際私は,20代をITエンジニア等として過ごした後,20代後半にゼロから法律を勉強し弁護士になりましたが,その際に感じていたのは,正に上記のような,プログラミングと法律の類似性でした。本書では,「プログラム」というものに日常的に触れているエンジニアの皆様が,エンジニアとして活動していくにあたって知っておくべき法律について,そのアルゴリズムや言語仕様などを理解しやすいよう,解説します。
民法や著作権法,特許法など,ITエンジニア自身が知っておくべき法律は多くあります。たとえば,ソースコードやソフトウェアを取り扱う際には,著作権の問題が出てきます。また,エンジニアとして働く前提として,契約形態や労働形態について知っておく必要があります。当然,システム開発などをする上で,エンジニアがどういった義務やリスクを負う可能性があるのかという点も重要でしょう。
こうした法律に関することを知らないまま仕事を進めていると,知らないうちに法律違反をしていたり,不利な契約を結んでしまったりと,思わぬ落とし穴にはまってしまうかもしれないのです。
そういった事態に陥ることを避けるには,何よりもまず,ITエンジニアにとって身近なトラブルや起こり得る法律問題について知るということが必要です。本書では,その取っ掛かりとなるよう,法律トラブルを回避するためにエンジニアが最低限知っておくべき法律知識について,取り扱っていきます。
冒頭で紹介した事例ですが,不利な条件での契約書にサインをしてしまうと,事後的に弁護士による交渉等によって挽回できる範囲には,どうしても限界があります。法律に関する知識は,トラブルになった後ではなく,トラブルになる前,例えば,受託の話がクライアントと平和的に進んでいる時にこそ,必要なのです。
本書が,将来のトラブル予防の一助となれば幸いです。